防水工事と聞くと、「水道まわりの工事かな?」という印象をお持ちの方が多くいらっしゃるかもしれません。しかし実は、防水工事は住宅・ビル・工場といったありとあらゆる建造物にとって、なくてはならない重要な工事です。近年、自然災害が非常に増えています。台風も多く、風や大雨のせいで家が雨漏りして困った方もいらっしゃるかもしれません。この機会に自宅の防水対策について考えてみませんか。
防水工事とは何か、なぜ必要か?
防水工事とは、建造物の雨や水にさらされる部分を防水処理し、建物内部に水が染み込むのを防ぐための工事のことです。実際にはアパート・マンション・ビル・ALC住宅の屋上、陸屋根、ベランダ、バルコニー等に施す防水施工のみを防水工事と呼びます。工事が必要な理由は、ずばり「建物の寿命を長くするため」です。
特に鉄筋コンクリート構造物においては定期的な防水工事が必要です。一度漏水してしまうと、損害は建物内部に及び、建物の耐久性能が著しく低下してしまいます。住宅の屋根・外壁・ベランダなど、雨や水の浸入の可能性がある部分は、雨風や直射日光にさらされて、防水層も劣化しがちです。そのためこのような箇所の防水工事は非常に大切なのです。
防水工事の種類
防水工事には用途・躯体の種類によって様々な工法・材料があります。
塗膜防水工法
ウレタンやアクリル、ポリエステルを主原料とした液体を、何重にも塗り重ねる防水のことです。ウレタンゴム系の塗膜によって防水層を作るため、「下地に塗るだけで防水層を作れる」工法です。塗布なので、施工場所の形状が複雑でも簡単かつ確実に施工できて、しかも軽量です。トップコートに上塗りしていくことができるため、メンテナンスが簡単で、長期間防水性を維持することが可能です。
ガラス繊維などを挿入し強度を高めたり、シートを下地に貼り付けてから防水材を重ね塗りして絶縁機能を持たせたりなど、各メーカーによって多数の工法があります。
FRP防水工法
現在住宅防水に最も多く採用されている塗膜防水です。FRP(ガラス繊維強化プラスチック)を使用して防水層を作る工法です。ガラス繊維のおかげで非常に強度が高く、耐候性、耐蝕性、耐水性にすぐれています。屋上やベランダ、バルコニー等でも安心して使用できるのが特長です。防水層は継ぎ目のないシームレスな構造になり、外観もきれいです。曲げたときにも割れにくく、歩行などに対して強いのが特徴です。そのため歩行される頻度が高いベランダの新築時の防水工事によく使用されます。
ウレタン塗膜防水
ウレタン樹脂を塗布して、防水層を形成していく工法です。
ポリマーセメント系塗膜防水
シート防水工法
塩化ビニール樹脂など石油由来の素材を原料とする、1mm~2mmのシートを接着剤や金属製で下地に固定し、シート同士を貼り合わせる防水のことです。工期が短く押さえられますが、接着性が弱い為ジョイント部のめくれ、シール切れによる漏水が発生します。
アスファルト防水工法
アスファルトを含む合成繊維不織布で作られたシート状のルーフィングを貼り重ねることによって、高い水密性を持つ防水層を作ることのできる工法です。防水層が厚く連続しているため、施工のばらつきが少なく、信頼性の高い工法です。耐用年数が20年程度と長いことも特徴です。ただし、価格が高いことがデメリットとして挙げられます。また、アスファルト防水は重くなるため、木造建築物には向いていません。
防水工事をおこなうベストなタイミングと季節とは?
劣化の症状で見極める
建物の寿命を延ばし、安全・安心な状態をキープし続けるためには、適切なタイミングでの防水工事が必要です。防水工事の工法によって、耐用年数に差がありますが、一般的には10~15年程度が防水工事をおこなう目安です。しかし、中にはもっと早くに手を打たなければならない場合もあります。ちょっと建物に注意を向けて見れば、専門家でなくても、以下のような防水工事が必要なサインを見つけることができます。
・前回の工事から10年くらいたった
・雨漏りしている
・ひび割れを見つけた
・塗装面が剥がれている
・壁面などにコケが生えている
・建物から雑草が生えている
このような症状が見られる場合には、一度専門家にチェックしてもらってください。
耐用年数で見極める
補修を検討する際に参考となる耐用年数は、建物の立地条件や防水工法・仕様、気象条件等の諸条件によって違いが出てきますので、一様に規定するのは困難ですが、ある程度の目安になると考えられます。
- アスファルト防水 約12年~17年
- シート防水 12~15年
- FRP防水 10年~15年
防水工事のDIYはあまりお勧めできない
個人でベランダ防水のDIYを行う場合には、「自分自身」でできるかの判断も重要です。ベランダの劣化状態が進んでいる場合は、プロに任せた方が安心、確実です。
防水工事は塗装業者や工務店でも対応していないことが多く、防水工事業者も工法によって細分化されているほど防水工事は専門性の高い分野です。ベランダ防水は比較的にDIYしやすいですが、様々な注意が必要です。もしかすると、プロに頼んだほうが安くて、質の良いということもあり得ます。そのため、「自分でできる範囲」をしっかりと見極めましょう。失敗すると即、雨漏りにつながり、建物に大打撃を与えてしまうというリスクがあります。さらに自身で防水工事をした結果、水漏れが発生すると保証が受けられなくなるというリスクも把握しておくべきポイントでしょう。
まとめ
定期的な防水工事が建物の寿命を延ばします。四季のある日本では、季節によって気温や湿度も異なります。いつ急な防水工事が必要になるか分かりません。暑い時期には暑いなりの、寒い時期には寒いなりの、そして雨が多い時期にはそれなりの施工方法があります。しかし、敢えて言うなら、塗料の乾燥に適した夏の終わりから冬までが工事の適正時期と言えるでしょう。昌栄は、お客さまを始めとした関係者様やスタッフなど、あらゆる方々との信頼関係を財産だと考えています。工事を終えたあとも、末永くおつきあいさせていただけるよう、心を込めて施工させていただきます。まずはお気軽にご相談ください。